コラム

離婚・男女関係
2022.08.24

離婚問題

1 離婚の方法

離婚の方法には、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つの方法があります。

協議離婚は、夫婦双方が離婚をすることに合意し、離婚届に署名押印して、役場に提出することにより成立します。

調停離婚は、夫婦だけの協議が成立しないときに、家庭裁判所で話し合い、合意ができれば、成立します。調停離婚が成立すると、調停調書という文書が作成されます。

裁判離婚は、調停でも合意ができないときに、訴えを起こして、判決によって離婚を求めることができます。裁判所は、裁判上の離婚原因がある場合には、判決によって離婚を認めることになります。

 

2 協議離婚

(1)メリット 早い。

(2)デメリット 金銭請求を確実にし、年金分割をするためには、公正証書の作成が必要。

 

3 調停離婚

(1)メリット 話し合いの場面では直接顔を合わせないので、冷静に話をすることができる。専門的な調停委員が間に入る。調停調書には、執行力のある債務名義(判決など)と同一の効力がある。

(2)デメリット 調停期日が1~2か月に一度しか入らないので、長期化する。相手が調停に出頭しない場合もある。

 

4 裁判離婚

(1)メリット 相手方が離婚に応じていなくても離婚できる。

(2)デメリット 裁判所に提出する書面には専門用語が用いられ、争いのある事実は証拠によって証明する必要がある。裁判に対応しなければならない。離婚原因がないと離婚できない。時間がかかる。

 

5 離婚原因

裁判(判決)によって離婚するためには、離婚原因が必要です。離婚原因とは、①配偶者に不貞な行為があったとき、②配偶者から悪意で遺棄されたとき、③配偶者の生死が3年以上明らかでないとき、④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき、⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由(暴力や長期間の別居)があるときです。

 

6 有責配偶者からの離婚請求

離婚原因について専ら責任のある者(有責配偶者)からの離婚請求は、原則として認められません。もっとも、別居が相当の長期間に及び、未成熟の子が存在せず、相手方が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれない場合には、例外的に離婚が認められます。

7 財産分与・慰謝料

夫婦が婚姻期間中に形成した財産は、夫婦の共有に属しますので、離婚するときは、その分与を請求することができます。婚姻前から有する財産や夫婦関係と無関係に得た財産(相続財産など)は、財産分与の対象になりません。財産分与にあたっては、夫婦が得た財産の額その他一切の事情を考慮して分与の額等を定めることとされています。

慰謝料とは、離婚原因を作出した者が、他方当事者に対して、その精神的苦痛を金銭的に補填するものです。そのため、婚姻期間中に、不貞行為をしたり、暴力をふるったりした場合に問題となります。

 

8 親権・養育費・面会交流

親権とは、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う者で、子の居所を指定し、教育に必要な範囲内で子を懲戒し、子が職業を営むにあたって許可をし、子の財産を管理し、子を代理して法律行為をします。父母が離婚をするときは、その一方を親権者と定めなければなりません。

親権者指定の基準ですが、子どもの年齢が低いときは、実際に子どもの世話(食事、排せつ、入浴、寝かしつけなど)をする者(母性といいますが、母親とは限りません)が優先されます。子が意思表示できる年齢に達していれば、子の意思が尊重されます。子どもの監護環境を変更することは、子どもにとって負担となりますから、現状維持が優先されます(ただし、違法性が高い奪取が行われた場合には現状維持の優先が崩れます)。兄弟がいる場合には、原則的に分離しません。その他、面会交流への姿勢も考慮されます。

養育費は、子の監護に必要な費用をいいます。親は子を扶養する義務があり、父母が離婚したとしても親子であることに変わりはありませんので、子を監護する親は、監護しない親に対して、養育費を請求することができます。養育費の額は、父母が協議して定めますが、協議がまとまらないときは調停や裁判所の決定(審判)により定められます。養育費の額については裁判所が算定表を示しており、審判の場合には、この算定表にしたがった決定がなされることが多いです。調停調書や審判書は、執行力のある債務名義(判決など)と同一の効力を有するとされているので、相手方が支払をしない場合には、差押え等の強制執行により回収することができます。

面会交流とは、子と監護しない親との面会及びその他の交流をいいます。父母が離婚するときは、面会交流について定めることがあります。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならないとされています。

9 年金分割

年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)を夫婦で分割する制度です。年金分割には、合意分割と3号分割とがあります。合意分割は、分割割合を合意又は裁判所の審判により決める方法で、3号分割は、平成20年4月1日以降に専業主婦又は主夫(国民年金の第3号被保険者)であった期間について、双方の合意なく50%に分割されます。合意分割の請求をした場合に、3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったとみなされますので、その期間は3号分割による標準報酬に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。

 

10 離婚後の氏

離婚によって氏を改めた夫又は妻は、離婚によって婚姻前の氏に復します。もっとも、離婚の日から3か月以内に届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができます。

また、父母が離婚し、非親権者の戸籍にあってその氏を称している子どもが、親権者の戸籍に移り親権者と同じ氏を称したいときには、家庭裁判所の許可を得て、氏を変更し、戸籍を移すことができます。

 

11 婚姻費用

夫婦は互いに協力し、扶助しなければならないとされていることから、離婚協議中であっても配偶者の生活を保持しなければならず、婚姻費用を分担する義務を負います。婚姻費用の額は、夫婦が協議して定めますが、協議がまとまらないときは、裁判所に対して調停を申し立て、調停でもまとまらないときは、裁判所の決定(審判)により定められます。婚姻費用の額については裁判所が算定表を示しており、審判の場合には、この算定表にしたがった決定がなされることが多いです。調停調書や審判書は、執行力のある債務名義(判決など)と同一の効力を有するとされているので、相手方が支払をしない場合には、差押え等の強制執行により回収することができます。

 

12 弁護士の選び方

弁護士によっては、離婚事件を取り扱っていない弁護士もいますから、離婚事件を取り扱っている弁護士に依頼する必要があります。離婚事件に注力しており、離婚問題の解決実績がある弁護士の方が心強いでしょう。また、離婚事件は、相手の対応によって、長期化する場合もありますから、料金体系が分かりやすいことが大切です。

弁護士の知り合いがいる人や以前に弁護士に依頼していた人から紹介してもらう方法もあります。そうでない場合には、インターネットで情報収集したり、弁護士会の法律相談で相談を担当した弁護士に依頼したりすることになりますが、離婚事件では、他の人には話しにくい夫婦間の話をすることになりますし、相手方の対応によっては感情的になる場面もありますので、親身に相談に乗ってくれる、いろんなことを話しやすい、コミュニケーションがとれる弁護士に依頼し、弁護士と信頼関係を構築することが望ましいです。また、都合のいい話ばかりでなくリスクも話してくれることも大切だと考えます。

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